スパスパ弧唄の音楽小旅行

〜日々を彩る音楽名盤紹介ブログ〜

【おすすめ名盤 77】Herb Ellis & Joe Pass『Seven, Come Eleven』

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Herb Ellis & Joe Pass『Seven, Come Eleven』(1973年録音)

【収録曲】

1. In A Mellow Tone

2. Seven Come Eleven

3. Prelude To A Kiss

4. Perdido

5. I'm Confessin' (That I Love You)

6. Easy Living

7. Concord Blues

 

【演奏メンバー】

Herb Ellis(ギター)

Joe Pass(ギター)

Ray Brown(ベース)

Jake Hanna(ドラムス)

 

 

今回はジャズ・ギターの名人2人によるライブ盤を紹介。

1973年のコンコード・ジャズ・フェスティバルにおけるライブ録音盤。ジャズにおいてギターという楽器は、他の管楽器などに比べ派手さもなくどうしても地味なポジション。故に打楽器に変わってリズムを作るなど、先人のギタリストが変幻自在に役割を模索しながらなんとか生き延びてきました。

そんなギターも2本重なれば花形管楽器に負けない音圧と存在感を生み出しているのがこのアルバム。それだけでなく、ハモりやリズム、パーカッション的奏法など、名人2人がギターでできることをおもちゃで遊ぶかのように、やりたい放題演奏しています。ギターがジャズの世界で模索し積み上げてきた1つの歴史をこのアルバムが示しています。

アルバムのタイトル曲「Seven, Come Eleven」って、どういう意味なんでしょう?7、来たる11?この数字の流れは「素数」のことでしょうか?

 


Herb Ellis, Joe Pass, Seven Come Eleven

 

 

ここからは「素数の魅力と音楽」ついて。

博士の愛した数式』という小説を以前読んだことがある。映画もみた。僕は数学を本腰入れて勉強したことはないけど、この物語に登場する “記憶が80分しか持たない数学博士“ が「素数のロマンティックな魅力」を教えてくれた。

 

その博士の台詞の中で、「素数」についてこのように語っている。

素数の素は素直の素。何も加えない、本来の自分という意味。つまり、1と自分自身以外では割り切れない数字のこと。例えば、2,3,5,7,11,13,17,19,23,29……。この素数は夜空に光る星のように無限に存在します。」

 

「なぜ星が美しいのか誰も証明できないのと同じように数学の美しさを表現するのも困難だがね。実際の生活に役立たないからこそ、数学の秩序は美しい。たとえ素数の性質が明らかになったとしても生活が便利になるわけでも。お金が儲かるわけでもないが。」

 

ひつじさん (id:nyanteicafe) が昨日紹介してくださった、盲目のギタリストJosé Felicianoが演奏する「Every Breath You Take」のライブ映像を観て、博士の素数への考え方に通じるものを感じた。音楽は無数の音の並び方、無数の音色が集合し、その美しさを理屈で証明できるものでもなければ、実生活に不可欠なものかどうかも計れない。でもそこに答えがないからこそ、目には見えない音の重なりが生み出す「美しさ」がある。それを通じて、国や言語、多くの壁を越えて、人同士共鳴しあえるのが音楽なんだと。この映像、本当に感動しました。

 

storyofthesugar.hatenablog.com

 

 

次世代のジャズ・ギタリスト達が、ハーブ・エリスジョー・パスによる「解けない数式」を今でも夢中で追いかけ続けている。

 

 

参考になれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 


スパスパ弧唄

 


参考リンク

YouTube:


Herb Ellis & Joe Pass Seven, Come Eleven ( Full Album )

 
Amazon:

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