【おすすめ名盤 43】岡村靖幸『操』
岡村靖幸『操』(2020年)
【収録曲】
1. 成功と挫折
2. インテリア
3. ステップアップLOVE(DAOKO×岡村靖幸)
4. セクシースナイパー
5. 少年サタデー
6. 遠慮無く愛してよ
8. レーザービームガール
9. 赤裸々なほどやましく
今回は "和製プリンス" 岡村靖幸さんの、今年4月1日に発売したばかりの最新アルバムを紹介。
"『操』とは、自分の意志、主義を貫いて、誘惑や困難に負けないこと。貞操。上品で雅やかなこと。常に変わらないこと。様々な意味がありますが、そのベースにあるものは、一貫しています。"
と語られているように、幾度となく「成功と挫折」を繰り返してきた岡村靖幸さんだからこそ辿り着いた漢字一文字『操(みさお)』が、アルバムのタイトルとなっています。1990年発表の大名盤『家庭教師』の空気をうっすら感じさせつつも、近年の岡村靖幸さんのポップさが全開で、一度聴いただけで頭に染み込むフレーズが満載。
1曲目の「成功と挫折」では、珍しくエレキギターのメカニカルフレーズを弾きまくっているなと思ったら、小山田圭吾さん(Cornelius)による演奏らしいから驚き。2曲目「インテリア」から、3曲目のDAOKOさんとのコラボ曲「ステップアップLOVE」への秀逸過ぎる繋がり方は鳥肌モノ。
ここからは、「成功と挫折と謝罪」について。
大きな成功を収めたものの、重大な不祥事を起こしてしまい、謝罪するという話は、よく上位ニュースとして取り上げられる。
先日、とあるコンビの、自分の相方が重大な不祥事を起こしてしまったことに対する謝罪をラジオで聴いた。不祥事を起こした当人ではなく、協働者としての謝罪。相方の不祥事の非は「仕事もプライベートもうまくいき、天狗になっていた」と十分に認めつつも、それを「あいつが悪い」と言い切るのではなく、「相方の方が技術や実績があり、立場的に自分からものを言えなかった」「自分が相方として声をかけるべきだった」などと、協働者として正直に自分の「弱さ」や「失敗」を素直に認めて謝っていた。そして、相方が穴を開けてしまった仕事は、依頼があれば責任を持って対応するという。コンビを組もうと声をかけたのは自分だという責任があるから。多大な迷惑をかけてしまっていることへの謝罪の念を、「誠実」に伝えようとしていることが、言葉の節々から感じとれた。
僕はこれまで生きていて、謝るという機会は多くあったけれど、どれだけ誤魔化してきただろうか。「自分だけのせいじゃない」だとか、「この場を早く乗り切りたい」などと何度も思ったことがあるし、「弱さ」を隠そうともしてきた。
不祥事を起こした当の本人は、人の心の機微や、身近な人を裏切り傷付けてしまったことへの苦しみに心の底から気がついて、起こったことを人のせいにせず、どれだけ「誠実」であれるかに今後かかっていると思う。
『操』という言葉の意味を少しだけ理解できた気がした。
参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
スパスパ弧唄
参考リンク
DAOKO × 岡村靖幸『ステップアップLOVE』MUSIC VIDEO