スパスパ弧唄の音楽小旅行

〜日々を彩る音楽名盤紹介ブログ〜

【おすすめ名盤 65】John Coltrane『My Favorite Things』

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John Coltrane『My Favorite Things』(1960年録音)

【収録曲】

1. My Favorite Things

2. Everytime We Say Goodbye

3. Summertime

4. But Not For Me

 

【演奏メンバー】

John Coltrane(ソプラノ・サックス 1,2曲目、テナー・サックス 3,4曲目)

McCoy Tyner(ピアノ)

Steve Davis(ベース)

Elvin Jones(ドラムス)

 

 

今回はジャズの巨人の1人、サックス奏者ジョン・コルトレーンのリーダーアルバムを紹介。

マイルス・デイヴィスがジャズ界の "帝王" なら、ジョン・コルトレーンは "神様" とのこと。ジャズが隆盛していた60年代、ジャズを聴いてた若者たちの間で "マイルス派"、"コルトレーン派"といった派閥ができていたらしいですが、当時の若者はどんな心境だったのかすごく興味があります。「コルトレーンを理解している俺が時代の最先端だ!」みたいな感じの人が、アバンギャルドな格好をしてジャズ喫茶に集まっていたのかな。僕がもしその時代の若者だったら、ジャズの世界を横目で憧れながらも、ビートルズにキャーキャー言っていたと思う。

『My Favorite Things』はジョン・コルトレーンのアルバムの中でも特に人気のある作品ですが、基本テナー・サックス奏者である彼が、ソプラノ・サックスを導入している点では、異質な音色を聴けるアルバムでもあります。1曲目の「My Favorite Things」では、ほぼ変化のないコード進行で、ベースのスティーヴ・デイヴィスが、忍耐強く約13分半もの間、「ミ」の音を鳴らし続けています。

 

 

ここからは、「小説とジャズ」について。

今回紹介している『My Favorite Things』は、僕がジャズを本格的に聴くようになったきっかけのアルバム。8年ほど前に、友人から借りた村上春樹さんの小説『海辺のカフカ』の中で、ジョン・コルトレーンの「My Favorite Things」を絡めたシーンがあった。本をすでに返してしまったので記憶がかなり曖昧ですが、主人公が入るなと忠告されていた危険な森の中へ何かの拍子に入り、案の定方角を見失った主人公が、「My Favorite Things」のジョン・コルトレーンのソプラノ・サックスを口ずさみながら、けもの道を進んでいくシーン。

聴いたことがなかったので調べてみると、たまたまiTunesのセールでこのアルバムを500円くらいでダウンロードできたので、即購入してそのシーンを読みながら聴いた。

「これがジャズ?」と思いましたね。自分の中にあった「ジャズ」の観念がひっくり返った。お洒落どころか、不安や恐怖などの混沌とした部分を感じた。おどろおどろしいマッコイ・タイナーのピアノのイントロから約13分半の間、単調な3拍子のリズムで、特にドラマティックな展開もなくラストまで続く。でも全く飽きないし、ずっとドロドロとしたリズムに浸っていられる。こればっかりは理屈ではわかりませんが、完全に13分半の世界が出来上がっている。それが森に迷い込んだ主人公の心境や、文章から妄想する風景にぴったりとはまった。あと、これがあのミュージカル映画、『サウンド・オブ・ミュージック』の「My Favorite Things」と、同じ曲であることをすっかり忘れてしまいます。

 

 

他にも様々な小説のシーンで音楽が出てくると思います。ぜひそのまま読み飛ばさず、小説の世界のBGMとして一度聴いてみてはどうでしょう。小説も音楽も、また違った感じ方で楽しめるかもしれません。

 


My Favorite Things - John Coltrane [FULL VERSION] HQ

 

 

参考になれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 


スパスパ弧唄

 


参考リンク

YouTube:


John Coltrane - My Favorite Things (1961) (Full Album)


Amazon:

My Favorite Things

My Favorite Things

  • アーティスト:Coltrane, John
  • 発売日: 1994/06/16
  • メディア: CD
 

 
iTunes:

 

 Spotify:

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