【おすすめ名盤 82】Miles Davis『1958 Miles』
Miles Davis『1958 Miles』（1958年録音）
【収録曲】
1. On Green Dolphin Street
2. Fran-Dance
3. Stella By Starlight
4. Love For Sale
5. Little Melonae
【演奏メンバー】
Miles Davis（トランペット）
John Coltrane（テナー・サックス）
Cannonball Adderley（アルト・サックス）1、2、4曲目参加
Bill Evans（ピアノ）1〜4曲目参加
Paul Chambers（ベース）
Jimmy Cobb（ドラムス）1〜4曲目参加
Red Garland（ピアノ）5曲目参加
Philly Joe Jones（ドラムス）5曲目参加
今回は “モダン・ジャズの帝王“ 、マイルス・デイヴィスのアルバムを紹介。
本作は、マイルス・デイヴィスの歴史的大名盤『Kind Of Blue』と同メンバーによる、1958年のセッションでお蔵入りになっていた曲を、日本独自に編集され1979年に発売されたもの。少し訳ありなようにも聞こえますがとても素晴らしい内容で、編集盤でありながら名盤扱いされている珍しいアルバムです。
やはり聴きどころは1曲目「On Green Dolphin Street」や3曲目「Stella By Starlight」のようなスタンダード曲。マイルスが指揮を執るとなるとやはり一筋縄ではいきません。彼の特徴であるトランペットのミュート・プレイもたっぷり堪能できます。テーマの元のメロディの美しさを大事にしながらも、絶妙に崩して自分色に染め上げています。ジャケットの池田満寿夫さんによるデザインも他の作品と趣が異なりとても印象的。
Miles Davis Sextet - On Green Dolphin Stree
ここからは、「これからジャズを聴こうとしている人に最初におすすめするアルバムとは」について。
昨日、週末に決まって行く近所のジャズ喫茶に寄った。カウンターに座りマスターと「今日はスポーツの日というらしいですね」と初めて国民の祝日に関心を持ったかのような、なんでもない会話をしていると、窓際に座っていた男性が会計をしにカウンターへやってきた。おそらく60代くらいで、デニムシャツにジーンズを履き、まるで当たり前かのようによく馴染んだ黄土色のキャップを被り、大振りなギターケースを背負っていた。その男性がマスターに「最近ジャズを聴き始めたのですが、おすすめを教えてもらえませんか？」と話しかけた。「マイルス・デイヴィスなど名前は知っているけど、何から聴いたらいいかわからなくて…」
マスターも腕の見せ所といった具合にスイッチが入り「私はこのアルバムがおすすめで…」と語り始めた。いくつか紹介していた中の1枚に今回の『1958 Miles』もあった。男性もとても満足げに「また教えて下さい！」と言って帰っていった。
その後マスターと、「これからジャズを聴こうとしている人に最初におすすめするアルバムとは」の議論が始まった。「最初はマイルス・デイヴィスやビル・エヴァンス、ジョン・コルトレーンを紹介したくなりますけど、あまりにも個性が強すぎて、これがジャズだと信じてしまうと他のジャズを聴けなくなってしまう危険もありますね〜」などと、結論が出ずに議論は終わってしまった。もし最初のロックのおすすめは？と聞かれたら僕は迷わずビートルズの『赤盤』と『青盤』と答えますけど、ジャズは？？？
でも今回の『1958 Miles』、これからジャズを聴きたいという方にいいかもしれません。『Kind Of Blue』よりも程よく緊張感が抜けていて割と聴きやすいし、バックの演奏メンバーも自身のリーダー・アルバムで数々の名盤を残してきたレジェンド達なので、1人1人掘り起こして自分の好きなジャズを見つけ出していける楽しさもあります。「最初はこれ！」という決定的アルバムがもし見つかったらまた紹介します。
参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
スパスパ弧唄
参考リンク
1958 Miles - Miles Davis - (Full 1991 Re-Released CD)
