【おすすめ名盤 4】稲葉浩志『マグマ』
稲葉浩志『マグマ』(1997年)
【収録曲】
1. 冷血
2. くちびる
3. そのswitchを押せ
4. 波
5. 眠れないのは誰のせい
6. Soul Station
7. arizona
8. 風船
9. 台風でもくりゃいい
10. 灼熱の人
11. なにもないまち
12. Chopsticks
13. JEALOUS DOG
14. 愛なき道
15. Little Flower
今回は初めての邦楽からの紹介です。
あの超有名ハードロックバンドB'zのシンガー稲葉浩志さんの1997年にリリースされた初のソロアルバム。
稲葉さんの世間一般的なイメージは高収入・高学歴・イケメン、ライブでは激しく、「ウルトラソウル!」と叫んで観客が一斉にジャンプし、ハイスペックなのはわかるが、いまいち人物像が見えず謎といったところでしょうか。
高校生でこのアルバムに出会った当時、図太く歪んだギターでパンチの聴いた音楽に憧れていたギター少年だったため、「なんか暗いけどCDジャケットかっこいいしオシャレ」とくらいしか思っておらず、再生する頻度は少なかった。
その後人生が進んで行く過程で、度々挫折というものが付き纏っていくわけだが、そう言ったタイミングでいつも半分無意識でこのアルバムに手を伸ばした。
先ほど書いた稲葉さんのイメージからすると、なんで気持ちがわかるの?と思ってしまうくらい、リアルな男性の心情が言葉・歌となり、それこそマグマのように熱を帯びて突き刺さる。とことん暗く女々しいが、必ず希望があるのが稲葉さんの歌詞の特徴の1つだ。本当に根っから優しい人なのだろう。もう自分1人だけのアルバムにしてしまいたいくらいで、大袈裟でなく、人生の節目節目で何度も心が救われた。音楽聴けなくなるほどどうしようもなく落ち込んでしまうこともあるが、結局はこういった作品が手を差し伸べてくれて、音楽を好きでよかったと思わせてくれる。
皆さんも音楽に限らずそんな作品はありませんか?
ほとんどの音楽作品が、「作品」であるにも関わらず、流れ作業のように消費されていく中、こうやって何年何十年と、思い出すたびにタンスの奥からわざわざ引っ張り出してでも聴きたくなるような作品は、作り手にとっても聴き手にとっても本当に望んでいることではないでしょうか。
やっと内容の話になるが、稲葉さんは1995年にリリースされたシングル『ねがい』からB'zの楽曲のアレンジに参加するようになり、その傍ら実験的に楽曲作りを始め、ストックが出来てきたのでアルバムにとしてまとめたそう。
タイトルの『マグマ』のイメージどおり、1曲目「冷血」からドロドロ。ある意味絶頂であるはずのの稲葉さんがいきなり「ほいほい捨てながらここまで歩いてきた」とか、「つじつまの合わない人 これからもずっとずっと」なんて歌うわけです。全体としては、B'zのようなハードロック調の曲から幻想的なバラード、ジャズテイストの曲、ボサノヴァ調とバラエティ豊かであるが、散漫にならず不思議と統一感がある。それは、サウンド面の効果もあるが、歌詞の主人公の人物像が統一されているのもあると思う。
今この『マグマ』を改めて聴いて紹介するということは、何か大きな節目なのではないかと考えてみたり。
参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
スパスパ弧唄
参考リンク